茶の湯のしるべ

勢昭庵光斉/鴨川書房/1959年。

戦後の茶の湯本。でもなんか戦前の空気漂う古安い装丁の本。
二段組で上のすき間に茶史、下に本文の茶の作法、という構成がいけないのかも。

まずは上の茶史とか書いた部分「茶の湯寳典」から。

我國に於きまして茶が始めて書に著れましたのは『日本後記』でございます。
それから又『凌雲集』にはり『帝春官に亘らせおはじましけるとき、冬嗣の大将閑院を訪はれしとき、何れも茶をもてあそぶ』とのことが見えてゐます。
それから『菅原太政大臣、若葉の香はしき湯を用ふ』といふことがございます。
(中略)
『民部式』の年料の植物の中に『尾張長門より茶碗二十口を奉る、何れもわたり五寸とさだめらるゝ』等とございまして、數へて見ますとなか/\盛んに用ひられたものに違ひございません。

この手の茶の湯入門書としては異様に詳しい内容である。

おそらく茶道全集(昭和11年)の上代喫茶史/池田源太の要約であるが、単なる孫引でなく調べて補填した上で非常によく要約できている感じ。

戦前の茶史が南方録とかベースなのに比べて格段の進歩が起きているんだなぁという感じ。