寸松庵色紙の習い方5 上下句不分割の散し書

上下の句が分割されていない寸松庵色紙も、やはりそれなりにいろんな法則に支配されている。

この不分割の形式を通覧するに一種の歌を多くは四行に割つてある。

一句は4行割が基本。

一紙六行の下方の延長線が一點に集合してゐる事である。

各行は微妙に微妙にほとんど分からない程度に扇型に配置されているという。

…肱ついて字書いたんじゃないですかね。

この形式の散しに於ける行頭の變化には又いひ知れぬ妙味がある。
多くは左下りに行頭を置いてあるが、その置き方に一つ/\變化を持たしめてある。
即ち、
(1) 左下りのみになしてゐるもの
(2) 左下りを基本とし第三行目を高くしてあるもの
(3) 高低を相互にあらしめるもの

行頭はいろいろ工夫がある。

行頭は善行に述べた如く實に見事な變化であるにも拘らず、行尾相互の布置の統一は強い連りを有して居て、何處にも切れた所がない。
大體は緩い弧線上に置き、置上り小坊子の尻のやうな安定さを持つてゐる。

しかし行末は大体揃っている。

こういう知識を前提に寸松庵色紙をもう一度鑑賞しなおすと面白いのではないか?(投げっぱなし)