樂家歴代を覚える

義母や先生方の、昭和40年代より前にお茶を学んでいた方と話していて気付いた事だが、昔の茶の湯には「樂家歴代を覚える」というのが修行の必須項目だった様なのだ。

…でもこれっていま全然流行ってないよね。
少なくとも私はわざわざきっちり覚えとこう、とか思わない。


実際昔の本を見ると、樂家に限らず、いろんな歴代を書いた本は枚挙に暇がない。

だがこれらは決して「コレクターの為」の知識ではない。
客の為の知識なのだ。

客の立場で、一入が樂の何代目なのか、とか、この花押は何代前の家元のなのか、なんてことが分からないと、茶席の会話が成立しないと思われていたから、そういう事を覚えさせられたのだと思う。


つまり昭和40年以前は、樂やら永楽やらのホンモノに触れる機会が(わずかでも)あり得た。今はそんな機会はほとんどあり得ない。

だから昔の茶人はそういう道具が出てきた時の為の準備をしていて、私はしていない。

具体的に何%とか言える数値じゃないけど、可能性が「ある閾値」を割ってしまったのが現代なんじゃろうね。