樂燒の仕方5 樂焼の作り方

最後に技術的な話。
釉薬とか箆とかの話は判らんから置いとく。

粘土について:

この粘土はどこに在る物でも皆宜しいかと申しますと、なかなか左樣は參りません。
粘り氣の不足して居るのもあれば多過ぎて困るのもあります、

いろいろ精製法が書いてあるのだが、

が都會等に住む人達にて粘土を採つて來ることが出來兼ぬる場合には粘土を買ひ入れるのがよい、近來は小學校などで粘土細工を致させて居りますので大概の所で賣つて居ります、

最終的には子供用の粘土を買え、という結論なのが面白い。
…学校で使う粘土は陶芸に使えるような質なのだろうか?


窯について:

この本で驚いたのは「簡易な方法」として七輪陶芸を勧めていることだ。
七輪陶芸は最近の発案だと思っていたので、まさか大正時代からあるとは思ってなかった。

圖の樣に仕掛け絶へず通風口から風を送るのであります、

通風口から送風して温度を強制的に上げさせるのも現代のと同じ。


しかも「作者の発案」みたいな書き方でなく:

七輪と植木鉢にても燒き得らるゝ簡便法あり、勿論立派な物はかゝる事にて行ひ得べきでは無いが極めて簡單なる品物の如きは燒き得らるゝのであります

とあるので、当時それなりに一般に知られた方法だったのかもしれない。