茶道爐邊夜話22 躙口と婦人

躙口の起源に就いては、人のよく知る所であるから省略するが、
(中略)
あの小さな入口から腰を屈めて席入りするのは、茶道では色々と理屈を付けて居るが
(中略)
元來が戰國時代有勝の刺客を恐れ、武器を帯びて入席不可能な小さい入口を採用したといふのが正しい見方であると思ひる。

躙り口の起源は、刀持ち込み不可!だと著者は言う。
でもなぁ。鎧通しとか匕首なら持ち込めちゃうし、それで人は殺せるからなぁ。

所がこの主なる理由は現代に於ては全然消滅して居るにも拘らず、これに拘泥し、席には躙口を必ず設けるとする考へは、一寸時代思想の感がありはしないだらうか。
(中略)
それよりも現代人殊に婦人の體格、服装、頭髪等を考へるならば、躙口は當然廢し、貴人口とも稱する障子に依る入口にするおが時代に相應しいものではあるまいかと考へる。

著者は新築の茶室は貴人口だけでいいじゃん派である。

今この三者から見た躙口の現代婦人に適しない理由を舉げると、先づ第一に體格の問題であるが、利休時代の人間に比し、現代人は生活様式が西洋風になつた為めに、脚部の長さが異常に發達して居る。
(中略)
慣れないものは唯さえ出入し難い躙口に、入る時は割合に樂であるが、出る際に、先づ頭より先にし、長い足を上手に扱ふには相當習練を要すると思ふ。

異常に発達しているかどうか検証しようがないが、とりあえず躙り出るときに頭から先に出て足を後に出すという風習があった事にびっくりだ。

第二は服装の問題で、(中略)
大部分を占める結婚適齢嬢は、何時見られるとも恥ずかしくないやう、相當華美な衣装を著けて居るのである。然もそれが振袖であり、帯びは丸帯を不自然に強く締め恰好のみに意を注ぎ、長年西洋風の服装でやつて來た人には、相當苦しい思をして居るのが、あの小さな躙口を自由に出入するのは、無理強も甚だしいものと云ふべきである。

振袖が留袖でも大して違わない気もするが、帯の結び方によってはひっかかるかもしれない。

第三頭髪の問題。
これも亦結婚適齢の女子の問題であるが、日本服装の場合には高島田と稱する相當嵩の高い髪を結ぶ。

高島田!
確かに躙り口には向かない気がするが…。振袖に高島田か〜。どんな結婚式やったんやろうか。