茶人の名書簡2 足利義政書状

世上之儀万不應成敗候之間令退屈ふと思たち候
今の時分定而疎略之様可被思食候へとも何共れうけんに不及候まゝ此分候
無緩怠心底者可有上察候
目出天下静謐之念願候
今ちと心なかく被相待候へく候
此旨自然之時者可被得其心候也
謹言
三月七日 (花押)(義政)

世の中が将軍に従わないので隠退を決意しました。
軽率だとお思いかもしれませんが、考えがまとまりませんでねぇ。
怠け心のせいではないと察して下さい。
天下の静謐を願ってます。
しばらくかかるかもしれませんが。
そういうわけなんでよろしく。

みたいな足利義政の隠遁宣言。

義政は応仁の乱の中、勝手に東山に隠遁した人物。
しかも茶の湯の始祖に擬されている。

会社を定年退職して悠々の人生を送ります、みたいな時の茶会にはぎりぎりふさわしいかもしれない…とは思うが、あまりに出来過ぎの内容ではあるまいか。

いっちゃ悪いがこういうのを見るとまず偽作を疑いたくなるんだが…著者が疑っている形跡はない。もしかすると純朴な人なのかもしれない。