茶ァ喰らい爺 負の民俗学
原泰根/初芝文庫/1994年。
「マンマンチャン、アン」についてとか、そういう地域に残る習俗や言葉を扱った本。茶書ではない。
「第一章 仏には水かお茶か」より:
それはそうと、家で仏さんをまつるのに、どうして水を供えるんだろうか」と大波廣氏。
(中略)
「私の郷里の信州もそうですが、日本では、東は仏に水、関西より西は、仏にはお茶のようでね」
「まさか」と大波氏が言われる。
という会話を発端に、フィールドワークが始まる。
…のだが。
このようなわけで、東は仏に水、西は仏にお茶、といっても、家例の違いというものがあって、一様ではないが、東西の慣行習俗の違いといったものは、相対的に数の多少や量の多寡、頻度などを比較していうことになるのであろう。
もう少しダイナミックに数こなしてほしかったかなー。ちょっと身近で調べ過ぎな気もする。
ま、供茶という風習が関西のものであろう、という所だけ押えておけば、今の私には十分なのだけど。
沖縄県は名護市の仲兼久ウシさんの御宅で、
(中略)
ウシさんは、毎朝、「ウ−トゥ−トゥ」と先祖さんにお茶をお供えされていた。
お茶は緑茶でなくジャスミン茶であった。
「ウ−トゥ−トゥ」って弟さん?でもふつー名前で呼びそうな気が。
本来仏教とは別の祖霊信仰を持つ沖縄で、ジャスミン茶の供茶ってのは面白い。
でもこの著者、伝来経緯とか調べないんだよな〜。たぶん、頭がよろしすぎ、調べても判るわけねー/だから現象だけ記録じゃ、とか思ってるんだと思われ。