普齋書入便蒙鈔3 第二 客により道具取合心持の事

茶道便蒙鈔の記述:

一 客の中。所持の道具と。同然の道具所持ならハ。其道具ハ出す間敷事也。
作去一方。
名物か。拝領の道具ならハ不苦。
萬事是にて心得へし。
但侘ハ各別の事也

これで全文。

  1. 客の持っているような道具を出しては行けない
  2. でも名物か拝領の道具ならば構わない
  3. 但し侘びは別。

現代の感覚だと、趣向の都合上客の持っている道具を出さざるを得ない場合もありそうだが、そういうのは許されない。あくまでも道具の凄さ競争をやっている感覚であって、趣向の概念はまだ未成立なのかもしれない。


漢作肩衝とかを相手が持っているから出せない…では相手もつまらないであろうし、拝領は客との関係性ではなく上司との関係性の方なのでこれまたオッケー。


侘び、は美意識ではなく貧乏の方だろう。
貧乏同志で相手が持っている茶碗が出せない、では困るからその制限はない。

上流と底辺でルールを反故にする、というルールなのか…。

普齋の朱書:

是等ノケ條尤佳也
隠躰トモ不苦候
同シ道具出シタルモ侘テヲカシアマリ心ノツキスキタルモウルサシ
マシテ拝領ナトノ道具名物ナトノ事ハ云ニ不及シテ上手ノコゝロナルヘシ

ここでも普齋は宗偏のルールを肯定している。

その上で、相手の持っている様な道具を自分が出した理由を強調するのはうるさい、と言っている…ような気がするのだが正直読み下しに自信が無いぜ。