普齋書入便蒙鈔10 茶立樣之事

江戸初期の茶の点て方。

茶道便蒙鈔の記述:

一 茶碗を左手にて取右へ移し其座に置。扨茶入を右の手にて取り
茶碗と我膝との眞中に置。
むすびめの輪を兩手の中ゆびにて少をしくつろげ。
むすびめを兩手のゆび二つ充にてときのばし置。
左手にて茶入を持。
前の相引の通り。
つかりぎハを拇にておさへ。
右手にて前の輪。
左の方一筋取。
前へ引さまに手をあをのけ。
一はいに引すまし。
兩手にて向の方を左へ押廻し。
右の手を茶入の上におほひ。つかりを右のゆび二つにておさへ
左のゆびにて打とめを持。

なんて感じで、かなり詳細に書かれている上、現代とあんまり変わるところがない。

ただ、違和感のある部分はやっぱりあって。

茶入を茶碗の上へ口の懸る程にして茶をすくひ能程入て。
茶杓を本のことく持直し。
茶杓に付たる茶を茶碗のふちにあてゝ打落し。
則碗の右の方三分の一程に茶杓をあおのけて置。
茶入の口に茶付たらハ右の拇にて前の方へなで拭。
蓋を本のことくして茶入を本座に直し。

もしかすると茶入から茶を汲む時は茶杓のみを使い、茶を廻し出ししていなかった可能性がある。

また、

客茶碗を取茶をのむへし。
時節寒天なれハ釜に懸置たる柄酌を取。
左へ持直し釜の蓋をして柄酌を建水の上にをく。

中仕舞いは既にあった様だが、そもそも「ケッコーなお点前で」みたいな挨拶も無かった様だ。

でもまぁ大筋おんなじだと判ったのが収穫かな。
おかげで?普齋のツッコミも冴えない感じだった。


なお

茶碗客より戻付前のことく我前に置。
湯を汲入茶碗の内茶の付たる所を。右の拇にてあらひ落し。先置可申由を云て。
湯をすてしたゝりを手にて拭ひ。
その手にて本の所に置く。

濃茶の後の茶碗を親指突っ込んで洗うのは、うちの流派今でもやっているので違和感ないなー。