普齋書入便蒙鈔14 第三 廬地入之事
ここからは客作法編。
茶道便蒙鈔の記述:
一 茶主むかひに出ば一禮を申上下取候へとの儀ならハ挨拶次第に致へし
尤主人も其通りの時宜有へし
亭主が迎えに出てきて礼をして「裃取ったらどうでしょう」と云われたらその通りにしなさい。
まぁ裃のまま通す場合もあるけど。
…。
裃の来客がそのまま茶室に入りそうになる/それを亭主が「脱げ」と言う。
これはこの頃まだ「来客は腰掛に行く前に寄付で身支度する」という風習が無かった事を意味するのだろうか。
普齋の朱書:
上下にて入來の客に袴御とり被成候へと云事 京も田舎も其通ニ候一向左樣の挨拶よろしからす
彼宗旦ハ人來テ白衣トみえ候へハ法體ノ輩に十徳なといたされたるト承リ侍ル
ソレハ世ノ中ノ名譽ノ茶人セメテ我等コトキハ詞ニイタサヌカヨロシカラン
皆茶仁ノ非興也
茶湯ハさやうに有度ものなり
亭主の非興也
裃で来た客に「脱げ」とか言うのは都会も田舎も一緒だが全然よくない。
宗旦は客が法被姿で来たと思ったら坊さんに十徳を着せたりしたと聞いている。
それは名人だから通る話なので、我々如きは口に出したりしない方がいい。
茶人は皆面白くないだろう。
茶湯はそういう風にありたい。
亭主は面白くないが。
…ぐらいか。
普齋は茶の湯の席での平等を重視しているが、それだけに「表面上の平等」みたいなのを嫌っているのかもしれない。
誰かが礼服で誰かがカジュアルなとき、ドレスダウンしなくても、気持ちが一緒ならそれでいいじゃないの、みたいな立場なんだと思う。