私撰利休道歌

利休道歌。重複や不要そうなの排除してみて、再整列させてみたぜ。

総論 一首

  • はぢをすて人に物とひ習ふべし是ぞ上手の基なりける

点前の心がけ 六首

  • 点前には強みばかりを思ふなよ強きは弱く軽く重かれ
  • 何にても道具扱ふたびごとに取る手は軽く置く手重かれ
  • なまるとは手つづき早く又おそくところどころのそろはぬをいふ
  • 水と湯と茶巾茶筅に箸楊枝柄杓と心あたらしきよし
  • 茶はさびて心はあつくもてなせよ道具はいつも有合にせよ
  • 時ならず客の来らば点前をば心は草にわざを慎しめ

床総論 二首

  • 掛物や花を拝見する時は三尺ほどは座をよけてみよ
  • 花見よりかへりの人に茶の湯せば花鳥の絵をも花も置くまじ

掛軸 十首

  • 墨跡を掛ける時にはたくぼくを末座の方へおおかたは引け
  • 絵の物を掛ける時にはたくぼくを印ある方へ引きおくもよし
  • 絵掛物ひだり右向きむかふむき使ふも床の勝手にぞよる
  • 掛物の釘打つならば大輪より九分下げて打て釘も九分なり
  • 竹釘は皮目を上にうつぞかし皮目を下になすこともあり
  • 床にまた和歌の類をば掛るなら外に歌書を荘らぬと知れ
  • 外題あるものを余所にて見るときは先づ外題をば見せてけよ
  • 掛物をかけて置くには壁付を三四分すかしおくことときく
  • 三つ釘は中の釘より両脇を二つわりなるまんなかに打て
  • 三幅の軸をかけるは中をかけ軸先をかけ次は軸もと

花 六首

  • 床の上に籠花入を置く時は薄板などはしかぬものなり
  • 釣舟はくさりの長さ床により出船入船浮舟としれ
  • うす板は床框より十七目また十八十九目におけ
  • 花入の折釘うつは地敷居より三尺三寸五分余もあり
  • 花入に大小あらば見合せよかねをはずして打つがかねなり
  • 余所などへ花をおくらば其花は開きすぎしはやらぬものなり

茶壷 一首

  • 壺などを床にかざらん心あらば花より上にかざりおくべし

盆石 一首

  • 盆石をかざしり時の掛物に山水などはさしあひとしれ

明り 二首

  • 暁は数寄屋のうちも行灯に夜会などには短檠を置け
  • 燈火に油をつがば多くつげ客にあかざる心得と知れ

鳴り物 一首

  • 喚鐘は大と小とに中々に大と五つの数をうつなり

炭手前 八首

  • 炭つがば五徳はさむな十文字縁をきらすな釣合をみよ
  • 炭置くはたとへ習いひにそむくとも湯のよくたぎる炭は炭なり
  • 焚き残る白炭あらば捨ておきてまた余の炭を置くものぞかし
  • 客になり炭つぐならばそのたびに薫物などはくべぬことなり
  • 風炉の炭見ることはなし見ぬとても見ぬこそ猶も見る心なれ
  • 客になり底取るならばいつにても囲炉裡の角を崩し尽くすな
  • 炉の内は炭斗瓢柄の火箸陶器香合ねり香としれ
  • 風炉のとき炭は菜籠にかね火箸ぬり香合に白檀をたけ

羽箒 一首

  • 羽箒は風炉に右羽よ炉の時は左羽をば使ふとぞしる

水指 四首

  • はこびたて水指おくは横畳二つ割にてまんなかに置け
  • 二畳台三畳台の水指はまづ九つ目に置くが法なり
  • 水指に手桶出さば手は横に前の蓋とりさきに重ねよ
  • 釣瓶こそ手は堅におけ蓋とらば釜に近づく方と知るべし

釜 三首

  • 冬の釜囲炉裡縁より六七分高くすへるぞ習ひなりける
  • 姥口は囲炉裡縁より六七分低くすへるぞ習ひなりける
  • 風炉濃茶必ず釜に水さすと一筋に思ふ人はあやまり

柄杓 三首

  • 湯を汲むは柄杓に心つきの輪のそこねぬように覚悟してくむ
  • 湯を汲みて茶碗に入るる其時の柄杓のねぢは肱よりぞする。
  • 柄杓にて白湯と水とを汲むときは汲むと思はじ持つと思はじ

薄茶と濃茶 四首

  • 点前こそ薄茶にあれと聞くものを麁相になせし人はあやまり
  • 濃茶には点前をすてて一筋に服の加減と息をちらすな
  • 濃茶には湯加減あつく服はなほ淡なきやうにかたまりもなく
  • とにかくに服の加減を覚うるは濃茶たびたび点てて能くしれ

薄茶器 四首

  • 棗には蓋半月に手をかけて茶杓を丸く置くこそとしれ
  • 中継は胴を横手にかきて取れ茶杓は直におくものぞかし
  • 肩衝は中次とまた同じこと底に指をばかけぬとぞ知れ
  • 薄茶入蒔絵彫もの文字あらば順逆覚え扱ふとしれ

茶入 四首

  • 文琳や茄子丸壷大海は底に指をばかけてこそ持て
  • 大海をあしらふ時は大指を肩にかけるぞ習ひなりける
  • 茶入より茶掬ふには心得て初中後すくへそれが秘事也
  • 置き合せ心をつけて見るぞかし袋は縫目畳目に置け

茶巾 四首

  • 乾きたる茶巾使はば湯はすこしこぼし残してあしらふぞよき
  • 小板にて濃茶をたてば茶巾をば小板の端におくものぞかし
  • 筒茶碗深き底よりふき上がり重ねて内へ手をやらぬもの
  • 茶巾をば長み布はば一尺に横は五寸のかね尺としれ

帛紗 一首

  • 帛紗をば竪は九寸余よこ巾は八寸八分曲尺にせよ

茶杓 一首

  • よそにては茶を汲みて後茶杓にて茶碗のふちを心してうて

茶筅 二首

  • 茶を振るは手先をふると思ふなよ臂よりふれよそれが秘事なり
  • 茶を点てば茶筅に心よくつけて茶碗の底へ強くあたるな

蓋置 一首

  • 蓋置に三つ足あらば一つ足まへにつかふと心得ておけ

結論 一首

  • 上手にはすきと器用と功績むとこの三つそろふ人ぞ能くしる


…71首に減っちゃったよ。

でもこんだけあれば、実用上はええんやね?