茶会記の風景15 伊達綱村

趣味に走って隠居させられた仙台藩伊達綱村

綱村はまた茶の湯をたいそう好み、その茶会記が千三百会余り残っている。
(略)
さて千三百会余りの綱村の茶会記には、多くの茶具が登場し、そのすべてを紹介することはとてもできないので、茶具に「購入」「献上」「○○より」「所持」などの書かれた注記に着目し、そうした注記のある茶具の主なものを一覧表として188・189頁に掲げた。
(略)
「献上」は家臣や出入りの商人から献上されたもので、少なくとも茶会記のうえではこれが最も多い。

遠州の会記から長崎商人との関係を探ろうとした著者なら、献上者の分限や時期から伊達騒動との関連性をも導き出しそうなものだが、ここはちょっともの足りない。


なお「注釈のついた道具」というのが必ずしも伊達家の「御馳走」とは限らないのがちょっと痛い。

というのも、大正時代の伊達家第一回/第二回入札で高額だった道具が、これら「注釈」付の道具にほとんど含まれていないのだ。

牧渓の朝陽も岩城文琳も寸松庵色紙も、注釈付ではない、ということだ。
たぶん、伊達家内で当り前に知られた名物にはわざわざ注釈が入らない、ということではないか?

伊達家入札目録に載っていた名物が綱村の時代にどう使われていたか、という視点が欲しかったかな。
まぁ自分でやれ、ということかもしんないですが。