江岑宗佐茶書15 伝聞事 こぼす

これまた誰から聞いたことかは不明だが、利休のエピソードなども含むので結構面白い。

一、二畳敷之茶屋ニ而、大和大納言殿茶之湯ニ御出候、
尺八ノ花入掛候ヘハ、大納殿申請候ハんと被仰、
花入取被申候間、
易水こほし候へハ、大殿はつと被仰、御はなし候

二畳敷の茶室で、豊臣秀長がお茶にやってきた。
尺八の花入が掛けてあったので、秀長は「ください」とおっしゃった。
花入を取りはずしているときに利休は水をこぼしたので、秀長は「そのままでいいよ」とおっしゃられ、話をされた。

…「大殿はつと被仰」の解釈がよくわからん。「つと」は「そのまま/じっと」「速く/朝早く」の二つ意味があってま逆だからな。

まぁどっちにせよ「利休が尺八の水をこぼした」という意味では珍しい記録なのではないだろうか。