江岑宗佐茶書21 寛文八年申ノ会ニ参覚

1668年の他会記。

1650年代以前の他会記に比べ、顕著な特徴がある。

七月廿三日昼 ぬし道恵 宗五 紹春 宗也
一、 古岳ノ文 春屋奥書在之 釜 しんのかま
茶碗 かた手ひつミ 茶入 茶杓 不知 水指 いかやき
尺八 旦作

わずか二本であるものの、銘のある茶杓が出ているのだ。

銘はこの二つ。

  1. 不知
  2. よろいとほし


この茶会記の茶杓の扱いは以下の3通り。

  1. 利休作、などの作者名
  2. 上記の銘付き茶杓
  3. 記載無し

記載無し、の場合、亭主が作ったものだと思うが、江岑が作った可能性もある。
だって自分が作って渡した茶杓が出てきたからといってわざわざ記録を残さないと思うので。

同様に銘付きも亭主作か江岑作かどっちかだろう。

銘付き茶杓の数が少ないことから、一般の亭主が自作した茶杓に銘を付ける習慣はまだなかったのではないかと推測する。

なので江岑作だと思うのだが…まぁ確証はもてない。

でもこの茶会記は「家元が銘付き茶杓を売って使わせる、という習慣をひろめようとした記録」と思いたい。