京都美術大観 茶室13 56.東本願寺渉成園漱枕居
この亭は四疊半と三疊とを有し、入口を土間としてその一部に袋戸違棚を設け臺目風な疊を入れてある。
(中略)
三疊の北側には水面一尺九寸、九尺二寸に五尺三寸五分の出張縁を附し、釣と眺めによく出來てゐる。
又こ東の側にも小縁を附し、こゝが舟着に成つてゐる。
舟遊びの出来る茶室。和と言うよりむしろシノワなお茶だったのだろうか。
茶の湯には本来いろんな方向性があって、和風の侘び寂び文化の他にもあった筈。
その茶の湯の多様性は現代では表面上失われたように思う。少なくとも茶人が目指す所ではなくなっている。
釣をしたり舟遊びをしたり…という、侘びと無縁の茶が江戸時代初期には存在したことが文献には残っている。
それが茶室という構造物の証言で再発見できるというのも面白いのかもしれない。