茶室の話

岡田孝男/学芸出版社/1978年。

建てる側から見た茶室の話。

建築技術選書の1巻。シリーズの第一巻が茶室、というのは、どれだけ茶室が建築家にとって面倒なことかを表わしている…のか?

第一章は「ビル内の茶室」。

まず紹介されているのは「福助足袋大阪支店ビル」。

社長辻本英一氏は藪内流の茶人なので、藪内家の茶室や広間を写して作りたい希望があり、(略)藪内家の名席燕庵、広間絹熈堂、稽古場学市軒の室内をそのまま写し、これを組み合わせて入れ込んだ。

その間取りがこれ。

すげぇ、ぎっちり。

そしてその中間に燕庵のものと同じ水屋を配置して両方に使えるようにし、広間の背後には懐石の際の配膳室を作ってある。
学志軒は藪内家では稽古の室に使われるが、ここの楽志軒は寄り付き待合の役をし、単独に使う場合は稽古場にもなる。

中央の露地を中心に、三つの茶室が連携できるようものすごく機能的にできている。

トイレに行くときに楽志軒の水屋を通る必要があるのだけがたまにきずか。


まぁ、その後福助は経営難になったので、この茶室ももうないのだろうが…。