茶室の話10 ある公民館の茶室

ノンフィクションの話である.
ある町の公民館の設計メンバーの若い建築家が,49図のようなプランを持参して,これでよいのか見て欲しいという.

下の図の、上の間取りがそのソレである。


「炉の位置がAでは具合が悪いですね」
「全然知りません」
「知らずによく設計ができましたね」
「炉を切れという要求ですから,やむを得ず参考書をいろいろ見て研究の上,でっちあげました.」

なんという率直な解答か。

客は1の畳から,3,6,9の畳に坐り,亭主は次の間の8帖の流しのところで準備してaの入口から10帖の室に入り,Aの炉まで行って茶の点前にかかるつもりでしょうが,5の畳に坐っても,また2の畳に坐っても,炉が左側にあるから逆勝手になりますね.」

本書の解答が下の方の間取り。

逆勝手は論外としても、初期案では客が次の間(兼水屋)を通らないと客入できないという問題も解決している。

これだと客が中立するのも水屋経由になっちゃうもんね。


まぁ別に面白い間取りじゃないけど、公民館ならこんなもんよね。


とりあえず判ったこと。茶室を建てようと思った施主は、建築家をどこかの茶室に呼び、茶を点てれるか試した方がよさそう。

点てれない人には建てれないんじゃなかろうか。