茶室の話11 炉の切り方

ここで炉の切り方の良否を,知らない若い人のために,ざっと書いてみよう.
お茶を少しでも知った方には判り切った事だが,少しの間目をつぶっていただきたい.

これもお茶を知らない建築家が茶室を作っている、という事が歴然の説明。


53図の1は,4帖半の席に炉を切り得る個所を示す(いずれも本勝手).
aは隅切り,bは向切り,cは台目切り,dは4帖半切り(略して半切り).

四畳半で台目切りをすることはないとは思うが、まぁ納得感はある。

53図の2のeは水指を置く余地が無いし,fは点前畳が2枚にわたるから,いずれもよくない.

点前の空間と膝の間に畳の継目があるのは明確な禁忌ではないが、確かに気まずい。

例えば2帖台目,3帖台目,または4帖枡床の席など──では棚物を使わないから,隅切り,向切り,または台目切りでもよいが(これらには簡単な棚が造りつけになっている).
広間ではいろいろの棚物(略)を据えて,飾りたてることが多いから,4帖半切りでなくてはならぬ.
もちろん,隅切りでも,向切りでも,また台目切りでも茶は点てられるが,室が広いので,このような小間の点て方では炉辺が貧弱に見えてよくない.

棚が置けないのは小間の問題点というより、台目畳の問題点。

作り付けの棚がなくとも、台目畳には棚物を置くだけのスペースがないからね。


でもこういう風に明文化するまでそういう意識が無かったので、これはこれで勉強になったわ。