かながわ茶縁めぐり4 茶湯寺の百一日参り

九 茶湯寺の百一日参り
(略)
“ちゃとうてら”というのは、あのお茶湯からきた寺の名でしょうか。
茶の湯の儀式典礼が寺の名になっているのです。
(略)
開山さんは、東寺長者権少僧都義範であると『相模風土記』はいいます。
一〇八八年の開創ですから、義範の寂する年に建てたことになります。

1088年といえば栄西以前なのだが、それを紹介した新編相模国風土記稿は江戸時代の書なので、どれだけ昔から茶湯寺と呼ばれていたかは不明、かな。

その義範伝承のお茶湯は次のようにして行われています。
霊前に捧げる仏器はすべて蓋付の銅器になっていて、お湯の入ったものがふたつ、お茶の入ったものが一つ盆にのっています。
さて、経をあげ、香をたき、花をささげ、しこうして盆の上の仏器の蓋をとります。
茶器より茶を碗にいて献じます。
そしてダラニを念じます。

どちらかというと煎茶風。
1088年が正しいとしたら、抹茶の伝播が速すぎですしね。


それにしても。
伊勢原の大山に茶湯寺は二つもあるみたい。

浄土宗 茶湯殿 涅槃寺。昭和37年創設らしい。これが今回の紹介分。
真言宗 大覚寺宝珠山来迎院。廃仏棄釈でいったん途絶えた寺。

百一日参りは地元葬儀の重要な風習らしいので、後者がいったん衰微したので、前者を作って風習を途絶えさせないようにしたのだろうか?