玉川遠州茶道秘訣抄2 薬鑵を水指に遣ふ時

時に、水次薬罐を水指に見立てて使う事がある。

本書はエラく詳細にそれを記述している。

薬鑵を水指に遣ふ時は左にて手を持ち口を客附の方へむけ右手を口の下に添へ持出取手を立て置(逆勝手は其逆なり)
蓋取時取手を向ふへねかせ蓋をとり表を客附にして薬鑵の時左の方へ持せかけ置
仕舞は柄杓をとり左に持ち(釜へ水さす時)釜蓋をしめ柄杓蓋置は引
薬鑵の蓋をしめ取手を立て置き柄杓を建水にかけて置
蓋置客附は仮置して(道具畳の炉縁より向ふの方客附なり)
建水柄杓持入茶わんを勝手に持入れ右に釜巾にて釜の蓋をとり蓋置に置
釜巾を薬鑵の口の下に添へ(口蓋あらは其時はね仕舞に又しめ置くなり)
水を差し入れ 水を差す時廻しながら入れなり 釜の蓋をしめ
釜巾を薬鑵の蓋上に置右にて蓋置を持ち勝手に入也

玉川遠州流では釜巾すなわち釜用の布があるようだ。

薬罐の上に置いて持ち帰ることから、茶巾の様な濡れて良いもので、これを使って釜の蓋も開ける、ということらしい。


また、仕舞いの時、水指から釜へ柄杓で水を補充するのではなく、薬罐から直接釜へ水を注ぎ入れるようだ。

名器の薬鑵にあらされは水指に用いることなし
平常せぬ事なり
常の品にて時の風情にする事もあり

詳細がしっかりしているのは「名物の薬罐でないと水指には使わないよ」ってことだからか。
名物の薬罐…ちょいと想像力が追い付かないけどね。