玉川遠州茶道秘訣抄8 向切替点の傅

向切のお茶の点て方。
「替点」は不明。

向切替点の傅

水指前に両器を置 飾り替は亭主の意にまかす

柄杓建水の上に乗せ蓋置右の掌に乗せ持出。

建水に蓋置を入れない流儀なんだね。

建水定の如く置左にて蓋置建水の前右の方に仮置一礼 居前少し客附へ向

茶碗茶入我前へとりよせ修覆をとき水指の左向ふの方に置
帛を捌き茶入を拭ひ炉縁前右隅に筋違に置

修覆は仕覆の事か。仕覆は水指と勝手の間の奥の方へ置く。遠いと思うが、濡れにくいとは思える。…うちの流派なら棚無しの場合懐中していると思うが。

ここで注目は「炉の前に茶入を置く」こと。
転がって炉に落ちる/熱気で熱くなるなど、弊害多そうなお点前である。

茶杓を拭ひ茶入に筋違にかけ茶筌を並へ置
茶碗少し前へ寄
帛右に持水指の蓋上を拭ひ炉縁の前左の方眞中を拭ひ炉縁前二ツに割左方眞中

炉縁を拭く理由は後述。
でも炉縁の右半分には茶入があるので、それなりにリスキーな手順じゃなかろうか?

帛左に持右にて茶巾を出し水指の上に置
帛右に持少し壁附へにじり左にて柄杓を取右を添へ左手丸く持右にて蓋置をとり水指前眞中に置
釜の蓋をとり帛膝先に仮置

先に仮置していた蓋置は水指正面で使う事が判明する。
また帛紗を一旦畳に置くのは武家らしからぬ感じがする。

湯を一杓半汲茶碗へ入柄杓左に持右にて仮置の帛をとり釜蓋をしめ帛を納め
蓋置をとり少し客の方へにじり蓋置下座の方に置柄杓を引置

向切なので勝手側にあった水指。その前に蓋置と釜蓋があったのを、釜蓋閉じるタイミングで蓋置を亭主と客の間に置いて、柄杓を引く…というダイナミックさ。

茶筌投して茶碗すすぎ茶巾にて拭ひ茶入をとり茶碗へ茶を入茶入元の所へ置
少し客附へにじり柄杓をとり左に丸く持ち右に蓋置を持居前ににじり蓋置を水指前に置
帛にて釜の蓋をとり湯返して湯を汲柄杓釜へかけ柄は炉縁前左の方眞中へ筋違に引置

炉縁を拭いておいたのは、柄杓の柄のかかる部分を拭いたようだ。
若干潔癖すぎる気がしなくもない。

茶を点茶碗を客前へ出し服の加減を相尋居前ににじり柄杓をとり左に持釜の蓋をしめ蓋置水指の方へ少し寄置 水指と蓋置の間一寸ばかりあく
柄杓建水の上にかけ置
詰迄茶を飲帛返りたらは柄杓を取り左に持ち右にて帛をぬき隅折にして握り込蓋置少し前へ出し釜の蓋を拭ひ蓋をとり帛を納め柄杓釜へかけ置茶巾を釜蓋へかけ水指の蓋をとり釜へ水をさす
茶碗戻りたらは湯水を入注ぎ捨茶筌濯ぎして茶巾茶筌を仕込み茶杓を拭い茶碗にかけ 是時正客三種所望をする

茶碗に茶巾茶筅茶杓を仕舞った時に拝見所望は珍しい。

茶碗少し向ふへ置
茶入取よせ帛を捌き直し茶入を拭ひ客附へ出し
茶杓を拭ひ出し帛腰に納め茶碗取あけ左掌に乗置
茶筌直し炉の右隅に向け置
修覆を出し建水を少し引き柄杓をとり釜へ水を差し柄杓左に持釜蓋をしめ蓋置きを水指の方へよせ置
壁附へにじり柄杓建水の上に置水指のふたをしめ右にて蓋置をとり右の膝先に仮置して左にて柄杓を取り右に持左にて蓋置をとり右に持添へ左に建水を持勝手に入也

これで一連終りである。

中仕舞いのあたりで茶碗の問答をしていないので、この流派では茶入・仕覆・茶杓の拝見の時に炉縁客附に茶碗を出す事で茶碗の問答もするのではなかろうか?


それにしても亭主がいろんな方向ににじり直すお茶だなぁ。