玉川遠州茶道秘訣抄16 雪の茶の湯の傳

ここから中伝。

最初は雪の茶である。さすが中伝ともなると風流である。

雪の茶の湯の傳

茶の湯侘す日幸ひ雪のふるをり初坐ならは花の赤きを用ゆ
白き花は悪し 外の色にてもよし
待合の火箸下火を多く入 土瓶に白湯を入火にかけ客の数程に茶碗を出し置なり

雪の白とダブらない様に花の色の規定があるのか。

客一統は少し早く行
客揃ひたらは勝手へ案内すへし
是時亭主肴一両種小鉢に入酒一瓶客の見計ひて入
小者杯を出し一献召上り直様露地へ御入り下れと云ひ
然る時は客も早く呑露地入すへし長く居へからす

客は少し早く行け、と。

勝手?には酒と肴を置いておき、半東に「一献すんだらすぐさま露地入りしてほしい」と伝えさせる。

のんびりしているようでしていないお茶ですな。
まぁ長っちりで呑みふけられても困るわけですが。

にじり上りの戸は湿さす軒下にも水打す
腰かけの火鉢は火を多く入 火箸をさし置なり
笠を客の数程出し
(略)
手洗桶には湯を入ぬるませ置
(略)

ここはいかにもな処置。

中潜迄行軽く雪の挨拶す 誠に雪中御苦労の事を告餘は数奇屋にて承るべし
庭の模様を見てにじり上がりより静に入
席中の窓雪の見ゆる景能き所を一ヶ所あけ置へし

外は寒いので挨拶は短め。
で窓は一箇所開けて、雪見できるようにしておく。

客追々数奇屋に入
是時路に雪ふる時正客竹箒にて飛石の雪を拂又手洗鉢の辺に行
次客心得て箒をとる
正客手水を遣ひ亦箒にて雪を拂ひにじりあがりに行箒は刀掛の辺に立かけ置なり
(略)

正客が箒で掃きながら席入りする。先頭は正客なのでしょうがないのだが。

…あれ?挨拶したあとの亭主はどうするのだろう?
彼が箒を使うのが正しいのでは…?

初炭終り懐石はさめぬ様に気を付あつきを進むる様料理心を附へし中酒も早く出すへし
(略)
後席掛物ならは一行物詩歌の類を用ゆ
急ぎ飾りを替客を迎ふへきなり

寒いのに窓開けてるんだから、いろいろ冷めない配慮が必要。
中立も寒いので早めに飾り直しをすること。


あとは「常の如し」なわけだけど。

んで心得。

雪の日には惣躰釜を沸かし茶具も改め拵ひ茶を挽き花も替菓子およひ酒肴などに至るて兼客用意いたし置心あらん人の尋ね来るを待つへし
是雪を如何御覧候やと問れんは生涯のおもひ出成へし

雪の日の客待ちとはなんと風流。
大正時代はまだ常釜の風習が残っていたか。
あと、秋田の流派にはより重要な項目だったのかもしれない。

でも皆がこーやって待ち構えちゃうと訪問する人がいなくなっちゃうね。