玉川遠州茶道秘訣抄18 朝興の茶の湯の傳

廻章をもつて朝顔の御茶進上申度と花を名乗のりて時刻をかヽさるは朝顔茶の湯は限るなり

回状をつかって「朝顔の茶さしあげますよ、と花を書くだけで時間を書かなくてもいいのは朝顔の茶に限られる。

初座床に牽牛花を活けるなり
客は一統未明に行 心ある人は暗夜の中より行くなり
待合いはあんとんを置
露路には右燈籠の火かこれに燈し置 明け残るさえよし
客初坐入す
定の如懐石並に炭終客中立す
後席花うつくしくば其まま置掛け物をかけるなり
花しほれたらは取入へし
かけ物は詩歌の類よろし

床に朝顔を飾り、客も早く来て初座を行う。
中立の際、花がきれいなら諸飾りにし、しおれていれば掛物だけ掛ける。

まぁこれだけだと割りとありそうげなお茶だが、花の準備がなかなかすごい。

亦明朝咲へきつぼみを宵より切りて
井の内へ釣置なんなりとさつと蓋をして置
客初入に井戸よりあけ細き枯枝にまとわせ活けるもよし

低温かつ暗い井戸に入れて時間を錯覚させ、茶席中に咲かせようという趣向か。

うまくいくかどうかは判らないが、格好いいね。