玉川遠州茶道秘訣抄26 菓子の茶の湯の傳

今度は菓子の茶の湯について。
菓子の茶の湯自体にさほど疑問はないが

菓子の茶の湯は飯後の茶の湯をいふ朝飯後昼飯後なり
床に掛け物上棚眞中に茶入一つ下棚に水指を飾る
甫公曰く菓子の茶の湯には三つの露必と仰せられたり
三つ露に口傳あり

この三つ露というのが判らない。

水栗は鉢にむき栗を客の数程一つも全計に入水を少し入れて出す
箸は不用
客は指にて取るへし
夫故指先のぬれぬ程に水を入るなり

ついでに水栗の作り方も書いてあるのでここに載せておく。まずそう。

なお口取→水栗→煮しめと来て、炭点前のあと、亭主はいきなり茶碗を持ち出す。

此時正客暫く御見合下され手水を遣ひ度し云う
中立をするとせぬとの事は正客の心にあるへし
甫公は中立には及ひ不申と仰せられたり

懐石抜きの手っ取り早い茶事なんで、このままお茶点てますよ〜と亭主はいい、
客はいえいえ中立させてくださいな、とくるわけである。

後席の飾りを替え 三つの露に飾るなり

で、これがわからない。

付けたりでその部分の解説もあるが

三つの露の傳
(略)
又後席掛物其まヽ置花活水指のみを飾るもあり 是三つの露なり
上棚眞中に茶入を一つ飾る事は名物或は拝領の茶入の由緒なくては飾らすといえども是菓子の茶の湯は侘びの事故に苦しからす是大事口傳秘中の秘なり

やはり大事なことが口伝になっている。

三つの露といふは初座の事なり
元來三つの露の訳は常の茶の湯後入の飾り床に花道具畳に水指茶入是も三つの露なれとも常の飾り故三つの露とはいわす
菓子の茶に初坐右の格に飾りて三つの露と云は常の茶の湯菓子の茶の湯を紛敷故に菓子の茶の湯の時は三つの露と甫公仰せられたり

どうやら初座から後座の飾りをしておくことが三つの露らしい。

懐石もないから中立を省く、という気持ちがあるのが菓子の茶の湯の特徴なのだろうか。