玉川遠州茶道秘訣抄32 臺子風炉侘点の傳

「台子」で「侘び」。

疑問符しか湧いて来ないが、とりあえず見てみよう。

竹臺子下棚眞中風炉釜を置
上棚右方眞中に四方盆に茶入乗せ(長緒なり)飾るなり(初坐床に一行物後席掛花生に花を活るもよし)

竹台子の下に風炉だけのせ、上に長緒の茶入を四方盆に載せる。

下はちょっと不思議な置き合わせ。上は全く侘びていない模様。

坐掃終て水指持出下棚前左の方に置

なんと台子の前に水指を運んで来る。

次に台茶碗を持ち水指の方に仮置
右に茶入を持左に盆を持水指前右におろし台茶碗を方盆に並べ置

天目台に載せた茶碗を持ち込み、茶碗と茶入を仮置き。

次に柄杓蓋置建水を持ち(略)

ここからは(道具なりの)割と普通のお点前になる。

ただし

茶入の扱ひ盆の拭ひ方唐物盆点と同じ見合へし

と、侘びた風情ではない。非常に式正である。


水指の運び点前であること、水指が棚に入っていないこと、杓立て等は使わない事が侘びた部分であり、それ以外はかなり式正寄りのお点前のようだ。

ただ、式正という観点で見ると、部分部分に侘びの要素が入り、式正としては破綻しているので、「侘び点て」なのだろうなのだろう。


「拝領の茶入は台子で」みたいなルールのあるこの流派。

侘びの小間しか持たない侘茶人でも台子を使う必要があって、それでこういうお点前が工夫されたんじゃないだろうか?