玉川遠州茶道秘訣抄33 臺茶碗濃茶五客五碗点の傳

この流派の奥伝のネーミングセンス、きらいじゃないぜ!

臺子を飾り(及臺子常臺子外何棚にても随意たるへし)
天井に茶入(茶は沢山に入置掛はさる也)
仕込茶碗を臺子に乗せ飾る
地板は水指杓立前に蓋置を飾るなり(上下の飾り随意たるへし)

セットアップ的には割と台子風。
「上下の飾り随意たるべし」がなんかいろいろ台無しな気がするが。

坐掃終て建水持出一礼点前なり臺点習いの通りなり
茶を点欠畳へ出し帛も出す
客一口呑たらは服加減を伺ひ

ここまでは普通。

御寛りと召上かり可給告挨拶す
釜の蓋をしめ柄杓定式に引置勝手に入
正客呑終り帛を次客へ渡し置くなり順々斯の如し

正客が一碗目を飲み終る前に亭主は水屋へ移動。

重ね茶碗を臺に乗持出(茶巾を二つ入置なり)

重ね茶碗with天目台in茶巾sを持ち出す。

で、二客三客にこの茶碗でお茶を点てて出す。そして…

三客一口呑みたらは服の加減を伺ひ次客の戻したる臺をとり点前ににじり前に置
勝手に入重ね茶碗を持出(臺なしにて茶巾を二つ入置なり)
臺に乗せ置

三客が三碗目を飲み終る前に亭主は水屋へ移動。
またも重ね茶碗in茶巾sを持ち出す。

つまり、1+2+2と五つ茶碗が出て来るお点前である。

ではこの茶碗、最後どうするかというと、

正客是時茶碗の銘を問ふなり
(略)
湯水を入濯ぎ仕舞の挨拶して
(略)
是時次客茶碗を戻し銘を問ふなり
(略)
三客茶碗を戻し銘を問ふ

一碗ずつ銘を尋ねながら戻して行く。

初めの臺茶碗を引
次に出て仮置の臺茶碗を持入り
次に出て重ね茶碗を持入り
次に湯桶を持ち出

で、茶碗を3回にわけて水屋へ戻す。
#二行目の「台茶碗」は「台に置いた重ね茶碗」の間違いだと思う。


さて気になるのは茶碗と同数持ち込んだ茶巾である。


茶巾は台子の下段、水指前に順に置いて行く。
最終的に五個並ぶ。

茶巾五つは古法なれ共手数といへ水指前混雑故旧古斎改以来一つなり

でもそのやり方はめんどくさいので甘古斎以降は一つの茶巾でやるルールになっているようだ。

でも甘古斎は流派の二代目であるので、十分に古法と言っていいのでは?


しかし、亭主が水屋に行き来する回数の多い、落ち着かないお点前であるわな…。