玉川遠州茶道秘訣抄 総括
他流の伝書を大体まるっと読んでの感想。
奥伝まで行った個人に対し、家元が四分冊の秘伝書を渡す、ということが行われていたのが興味深い。
手書きの各冊子には伝授相手にいつ誰から伝授したかが署名されている。
「山上宗二記」に口伝の部分があったり「南方録」が切紙伝授を前提としていたり、本来の茶の湯の伝授とは、こういう風に紙で重々しく行う物ではないだろうか?
「不立文字」「心に伝え目に伝え耳に伝えて一筆もなし」みたいなやり方でお金をいただくのは相当に難しいのではないか。
伝書を渡すと「前に言った事と違いますよ」と反論されたり、あるいはそちらをよりしろに「私は先代のお茶を守り続けます」的に独立されたりと弊害もあるので、それを防ぎたいというニーズがあった上で、
相当に家元の権威が確立していないと物を介さずにお金をいただくことは成立しない様に思える。
あと、大正七年、というデモクラシー万歳な時代でも、やはり戦前の日本は階級社会で、偉い人は無条件に偉いし現代とは偉さの次元が違うという感じだった。
虐げられた半東の皆さんは貴人の独裁に反抗し、革命による半東独裁を敢行し、インターナショナルを斉唱してからお茶を開始できるよう頑張って頂きたい、という感じでした。