茶事談3 本朝茶祖珠光傳 眠い

珠光と茶の出会い。

珠光禅宗ニ歸シテ書ヲ読ミ座禅スルニ睡眠スル事甚シ珠光常二コレヲナゲキ或時名醫何某ニ問テ曰ク

余壮年ノ時ヨリ示す釋門ニ入トとは雖師ノ教命ニ背キ漂泊ノ身トナリ今當寺ニ入テ法義ヲ學ブ然レ共座禅ノ時眠ヲ催スコト甚シ公ハ名醫ノ名高シ和漢ノ醫書ノ中ニ眠ヲ避ク良薬アレバ吾ガ為ニコレヲ授ケヨ

珠光は「座禅してるとチョーねみーんすよ。なんとかならんすかね」と名医に尋ねたコトになっている。

さすがである。ロックである。


…一辺寺を追い出された身。坊主は不向きなんだから還俗して商売でもはじめればいいのに、とか言ってはいけない

ヤンキーモノ漫画の主人公が不良なのになぜか学校へは行ってるのとおんなじくらいにはロックなのだから。

醫ノ曰ク
人トメ生ヲ養ヒ命ヲ保ヲ以テ賢トス今ノ世ノ人ヲ見ルニ第一心ノ臓弱キユヘニ面ノ色モアシク眠ル事多シ
五臓ハ萬物ノ味ヒヲ分好ムモノ也
肝ハ酸ヲ好ミ肺ハ辛ヲ好ミ心ハ苦ヲ好ミ脾ハ甘キヲ好ミ腎ハ鹹キヲ好ム
眠リヲサマサント思ハヽ唯茶ヲ喫シテ心臓ヲ養ベシ心ハ五臓ノ君子ナリ
茶ハ苦味ノ上首ニシテ苦味ハ又諸味ノ上首ナリ
故ニ強テ茶ヲ喫セハ心臓強クシテ無病ナラン無病ナレバ眠コト必ズ少シ
神農食経ニモ人眠ルハ病ナリト有足下大望アル身ナラバ生ヲ養ヒ命ヲ保べし
茶ヲ喫メ心臓ヲ養ハヾ命ヲ保テリ
栂尾ノ茶ヲ求メ常ニ喫シテコレヲ味フニ醫ノ教ヘニ不違

医者はくどくどしくも喫茶養生記ぽい事を述べた後「ちゃー飲めばええんちゃう?栂尾にあるでよ」と回答した。

コレヨリ珠光茶ノ良薬タル事ヲ知又茶経茶譜試茶論茶録或ハ諸ノ醫書ヲアツメ考ヘ見ルニ茶ノ功能類ヒナキ事ヲ知リ抹茶ノ法ヲ製シ茶事ノ式法ヲ定ム

珠光は茶の資料を集めまくり、「お茶クールだぜ」とか言いながら抹茶の製法を開発し、お茶の作法を定めた。

茶法はともかく、珠光が茶を蒸したり揉んだりの製法まで定めているのが不思議だ。

あと江戸も中期になると、闘茶の文化があった事とか忘れられていたのだろうか?
いくらなんでも佐々木道誉を知らないって事はないと思うのだが…。