茶事談7 本朝茶祖珠光傳 愚痴

オヨソ近代萬方茶ノ會ヲコノミテ諸流ヲワカチソノ流々ヲ論シタヾ賓主應對モナクタヾウツハモノヽ善悪アルヒハアタイノ高下ヲキソヒ容貌動作ヲ論ジ衆陣茶室ニ群居シテ終日淫喋戯慢スルバカリナリ
カクノゴトクニテハ日々ニ茶會ヲモヨホスト雖又何ノ益アランヤ

ここからは珠光もう関係ない愚痴が続く。

全量引用は苦痛なので、面白いトコをつまむ。

茶人トシテ茶器ヲ蔵ムル箱ノ裏ニ其姓名ヲ書シ花押ヲスヱ其門人ニアタヘテ禮物ヲウクル人アリコレ茶人ノ恥ル所ナリ

この時点でもう既に箱書批判が始まっている。
んで本書から250年、これは改まってないわけでございますな。
箱に書く人がいることより、箱に書かれている事を喜ぶ人がいる方が問題なわけで。

東渓カ試茶論或ハ闘茶論茶経ニモ茶ノ香ト服トヲ論ス
珠光ノ時香ト服トヲ論ジテ茶香服ト稱ス
中世コレヲ誤リテ茶カブキト名ク

珠光の時代に茶の香と服加減を論ずる事を「茶香服」と呼んだ。「ちゃかぶく」だろうか?
中世これを誤用し、茶カブキが起こった。

…これじゃ佐々木道誉が珠光の後の時代の人みたいだ。

又茶事ノ法ニ百ヶ條三百ヶ條ト云テ式法トスル人アリ
一ニ始テ萬ニ至リ萬変シテ盡サルコトハ濱ノ真砂ノ如シ
人ニヨリ器物ニヨリテ臨機應変アルモノニテ何ゾ百ヶ條三百ヶ條ニカキルモノニハ非ズ
モシコノ法式ニカヽハル人ハ茶人ノ糟糠ト云べし

茶事の禁則百ヶ条とか三百ヶ条とか決める奴は、物の道理の判っていないカスだ、というわけですな。

いいたい事はわからんでもない。