茶事談9 長次郎七種

本書には長次郎七種に関する記述がある。

東陽坊 大黒 小黒 三碗ハ黒盞
臨済 早舟 木守 検校 四碗ハ赤盞
右七品ハ本朝茶盞七種ノ名物トス宗易長次郎ニ命シテ造ル

このラインナップも一般的ではないのだけれど、問題は、ここからである。

長次郎宗易ノ命ヲ受中華ニ入テ茶ノ能浮シテ茶ノ味ヒヲ能スル石薬ヲ傳受シテ帰朝茶盞ヲ作ル
宗易大ニ悦則チ帰朝ノ朝ノ字ヲ取リ朝次郎ト改ム

長次郎が利休の命令を受け、中国に留学。イカ釉薬を学んで帰った…なんて伝承初めて読んだわ。
藤四郎と間違えてないか?

あと、帰って来たのを記念して「朝次郎」ってのも意味不明。
行った先でなく帰って来た方の名前を付けちゃったら、どこに行ってもこの名前になっちゃうじゃねーか。

とりあえずこの説は他に聞かないから、類書への影響は少なかったものと思われる。