高谷宗範傳23 革新改善すべき点

宗範昭和五年の講演の最後に、改善点のまとめがある。

くどくない程度に引用する。

一 書院式を復興改善して草庵式と並び行ふ事

「並び行う」であって、草庵を否定してはいないのだが、それでも反発をくらうのは人徳というものだろう。

二 夫婦共同接待の法式を實行する事
夫婦共同接待は世界萬國共通の原則なり、速に之を實行して茶道を世界的に宣傳すべし

世界に類を見ない「ホストホステスが客のいないバックヤードで相伴する」という点はどうするつもりだったのだろうか?

三 眞の臺子式を改善して之を公開實行する事

台子を複数段階に分け、更に家元しか相伝できない台子まで作り出しては、もはや実用とは言えない。実用でない台子で書院の茶を復興できないから、当然の仕儀である。

四 點茶手前と挿花とを同時に教授する事
今日茶家宗匠が茶席の花を教へざるは缺點なり、故に點茶手前と茶花の挿法は即ち書院花と草庵花を同時に教授すべし

ごもっとも。

五 茶道普通科は三年卒業の事
但し教授科目は薄茶、炭、濃茶、茶花、茶事準則
通常人の稽古は平手前を本として花及び茶事準則を教授し、三年に卒業せしめ、直ちに茶會を開き實生活に向て禮儀を實行せしむべし

茶人になりたい人には3年で茶事ができるように仕込め!ということ。

六 茶道高等科は四年卒業の事
但教授科目は盆點、天目、袋茶碗、臺子眞行草、茶花、鑑識、茶會實習、茶道文學、庭園、茶室
高等科は宗匠養成の目的にして即ち師範科なり、故に普通科修業の後更に四年にして卒業せしめ通じて七年修業せしむるなり

茶を教えたい人には、更に4年で仕込め!ということ。

確かに、だらだらだらだらだらだら、ただお点前をしているだけのベテラン初心者っているよね…。でもそういう人がお茶の先生のたつきを支えているわけで、宗範の様に儲け度外視で考えてるわけじゃないからねぇ。