高谷宗範傳25 書院式饗饌

宗範の書院式饗饌の作法。

一 主人襖ヲ開キ本膳ヲ持チ出テ上客ノ前ニ置キ一禮シテ退ク、上客答禮ス
此時上客ハ自ラ手ヲ出シ本膳ヲ受ケ取ルコトヲセズ、是レ草庵式ト異ナル所ナリ
一 夫人襖ヲ開キ本膳ヲ持チ出テ次客ノ前ニ置キ一禮シテ退ク、次客ノ答禮等皆上客ト同ジ
一 給仕襖ヲ開キ本膳ヲ持チ出テ三客ノ前ニ置キ一禮シテ退ク以下前ト同ジ

狭い小間では主人一人で給仕していたが、書院では違う。

しかも主人→夫人→給仕、という序列があるのが見て取れる。

夫人が水屋台所から茶室側に出て来るのは当時としては珍しい事だろう。

一 主人ハ客ガ箸ヲ置キ椀ノ蓋ヲ掩フ時ヲ見計ヒ襖ヲ開キ三組ノ盃ヲ載セタル花月臺(以下盃臺ト云フ)ヲ兩手ニ持チ出テ(略)
一 給仕鐵銚子ニ冷酒ヲ入レ持チ出テ(略)給仕酒ヲ注グ(略)

しかし、盃台を持った主人に続くのは銚子を持った給仕。
酌は給仕の仕事であって、うちのワイフは酌婦じゃねー!という強いアピールを感じる。

一 主人一同ニ向ツテ御流ヲ頂戴致シマスト挨拶シテ其盃ヲ取リ揚グ、給仕酒ヲ注グ(略)

最後に給仕が主人が酒を注ぐ。これは千鳥というより、相伴という方が正しそうだ。


なお、書院では箸は箸袋に戻すだけ。

広間では箸を落す音が亭主に聞こえる訳もない、ということだろう。