講座日本茶の湯全史
全3巻の、茶の湯の通史の本。
茶の湯文化学会の皆さんが分担して書いているので、やや記述にまばらなモノがある。
茶の湯を定義することは極めて難しい。茶の湯とは何か、と問いかけられたならば、回答する人の数ほど、その定義は多岐に分れるであろう。
茶の湯の通史をざらっとさらうための序文。文章としては:
すでに「心の文」が書かれた一五世紀の時点で、「此道」の「こふ(巧)者」や「初心の者」がいたのであるから、茶の湯が一つのスタイルとしてすでに成立しかけていたわけで、わび茶誕生を珠光一人の功とすることはできぬとして、珠光の茶の湯成立史上の位置は高く評価すべきであろう。
まぁこんな感じでいつもの熊倉節。
熊倉さんは研究者というよりは配慮の人とでもいうか、「絶対に誰からも敵にされないぞ」みたいな文を書く方。
私はそーゆーのを「温い奴。つまり敵」と思ってしまうので、彼の配慮は全ての人をカバーできてはいない気がする。
でも、本書のような「バラバラの方々が通史を分担しながら書く」という難しい仕事…というより無茶な仕事の概論を書かせるには最高の人選かもしれないね。