講座日本茶の湯全史13 中世茶の湯研究の手引き

中村修也著。

中世の茶の湯がどういうものであったか、ということを研究するということは:

また、確実な史料だけで茶の湯の歴史を描くと、どうしても点と点をつなぎ合わせたような歴史となり、研究の層の薄さを露呈した。
(略)
「わび茶は、珠光が創始し、武野紹鴎が中興し、千利休が大成した」という絶対的な定説を作り上げていった。しかし、これは戦後の研究成果ではなく、実は江戸時代の茶書に叙述されていた通説と変わらないものであった。
(略)
たとえば、珠光の茶の湯を行ったという史料はないにもかかわらず、教科書にも珠光はわび茶の祖として記載されてしまっている。それが史実であるかないかは、史料だけが語れるものであるのも関わらず定説化しているのである。
珠光研究にもいえることだが、史料的な制限が厳しすぎて、なかなか室町末期の茶の研究は定説を越えられないでいる。

通説でなく、ちゃんとした史料に沿って解明した歴史学としての茶の湯の歴史は、なかなか研究されてこなかった、というお話。

今更新史料が出るってのもそうそうありそうにないし、手詰まりじゃないですか…。

しかし、一方で歴史研究としてはどこまでも史料に即して利休像を追求する必要がある。
(略)
中村修也が「千利休の経済的側面」『茶の湯文化学』一三号、二〇〇七年)で承認としての利休像を描いたのは、そうした試みの一つである。

中村修也かく戦えり」みたいな感じなんですかね。

こりゃ「茶の湯文化学会」で茶の湯の歴史研究してる場合じゃないですね。
普通の「歴史学会」を戦いの場にしないと…。