講座日本茶の湯全史12 茶の民俗

中村羊一郎著。

日本の茶文化は中国茶文化の影響を色濃く受けている。
平安時代空海最澄が味わった茶は、唐で流行していた餅茶に準じたものであった可能性が高い。
(略)
逆に、詩文集にみられる茶に関する断章を客観的に見直すと、餅茶よりもはるかに単純な製法による茶が存在したことが推定できる。
例をあげれば『経国集』に、「山里の男は茶を愛し、炉で茶を焙ってから煎じ、塩を加えて飲む」という一節がある

焼き茶、野茶、山茶…民間の簡易な茶あるいは代用茶のお話である。

つまり

『茶経』にみられる中国各地のさまざまな製茶法のうち、日本にはそのうちの最高級品である餅茶のみが伝来したというほうが不自然である。

遣唐使船を運用する下々だって唐で交流して茶を学んでいたのでは…というお話。

ここで製茶法にこだわるのは、このような単純な製法・飲用法が存在したからこそ茶が庶民社会に広く浸透し、食の一部となって生活に欠かせぬものになっていく道筋が描けるからである。

ううむ、今回まったく異論がないや。