講座日本茶の湯全史14 概説:近世の茶の湯

ここから第二巻。近世編である。

まずは熊倉功夫の概説から。


章タイトルを挙げるだけで内容が、第二巻の範囲がよくわかる。さすがのまとまりである。

茶の湯における近世
二 政治性の喪失と社会性の復活
三 家業化する茶の湯
四 遊芸化する茶の湯
五 近世家元制の確立
六 遊芸化批判と新しい茶の湯

利休死後から江戸時代の終りまで。
千家の勃興とそれへの批判。
茶の湯の近世」というより「茶の湯の前近代化プロセス」と言う方がしっくりきそうな気もする。

さて個別に中身を突っ込む必要はないが、二章をちょこっと引用する。

利休七哲という言葉の初見は明らかでない。
(略)
そもそも武将をもって利休の弟子を代表させるところに、まだ茶の湯が政治性を失っていない証しが有る。
天下人といえども「利休的なるもの」を一挙に消しさることはできない。
その意味で古田織部こそ、権力との矛盾をはらみつつ、形を変えながら「利休的なるもの(下克上の茶の湯)」の正当な後継者であったといえよう。

利休の死の次が、織部…秀忠の茶の湯指南になってしまい、利休死後の秀吉の茶が語られない、というのはたいそう興味深いことかもしれない。