講座日本茶の湯全史26 概説:近代の茶の湯

熊倉功夫著。

ここから三巻。近代編である。

一八世紀末から一九世紀にかけて、さまざまの茶の湯批判が展開した。
(略)
そうした新しい批判と発想が継起する中で、最後に登場したのが井伊直弼であった。

近代は幕末/井伊直弼から以降の時代を指す。

西欧の概念のない茶の湯は、近代文化としてそのままでは認知されない。
そこで近代に再生すべき方途としてとられた道は三つあった。
第一は倫理、道徳、行儀作法として、さらに教育のなかに生かす生活文化としての道である。
第二は趣味として近代人の審美的生活に資する道である。
第三は茶の湯の中に含まれる理知的哲学的側面と美的側面に注目し、日本文化の表象として賞揚する道である。

つまり花嫁修行として生き残る道、近代数寄者に阿る道、そして「茶の本」みたいなうわついた/身の無い話に益する道である。

あいかわらず熊倉功夫の「要約能力」は冴えてるなぁ。