詩集利休9 片桐石州

片桐石州





體 坐つてゐる
香爐のやうな坐
何時までの坐なるらむ


影が出没する 壁の中
何程多くの妄想の蜘蛛を
封じ込めたであらう
入りし影は 光を背負うた黄鳥となつて
とび立つ


庭前に 降り積つてゐる白雪
床の一朶の白梅は 禁色になつた
雪を活かして
室内の素色を
昨日の淡霞にうばひ去らせた


あの狭い茶室で
宇宙題の舞儀を舞ひ収める
黒紺衣装の巨蝶よ
何故に この最大の舞を
舞はねばならないのであらう


普天の下 渺々とひろごる
無邊際の陸地と水洋
美と雄々しき準縄
上下 縦横 經緯 明暗 寒熱 静動が
整然と呼吸を合す
霜意のなかに 花がさいてゐる
泪のまへに 星宿が照りてこぼれてゐる
泉石のうへを 踏みくるものがある
その律音が 石の心を起してゆく
草の情を燃やしてゆく
風を驅使するものが
石州の肩へ 力をふんまえてゐる

この詩はあまりにも駄目である。

だって、最後の「石州」を変えたら、どこの誰にでも適用できそうな内容だ。

つまりこの詩は何もうたえていないんじゃないだろうか?

この辺がこの著者の限界なのかもしんない。