野村美術館 高麗茶碗
野村美術館の高麗茶碗の特集。
これだけ書いただけだと「ふーん」って感じ。
でも違った。
発掘調査や対馬藩資料などを通じ、秀吉唐入り前後で、日本からの茶陶注文がどう変遷したかの特集。
3列の陳列棚がある。
右には唐入り以前の、かなりナチュラルな朝鮮陶器。
主力は三島、井戸。茶色い伊羅保に本手斗々屋。
中央は唐入り直前〜交易再開後の茶陶。
絵付けや割高台、黄伊羅保への変遷。
そして左。
日本からの注文陶。
立鶴や蕎麦、平斗々屋、堅手に御本。
これらの変遷が、特に後期は対馬藩宗家家臣の、半島出張所にあった倭館窯を中心に語られる。
一番奥の展示スペースには、伊羅保片身替茶碗がABCと三つ。御本茶碗がABCと三つ並べてある。
それぞれAとBはそっくりな作行。Cはぜんぜん違うもの。
伊羅保片身替茶碗は刷毛目までそっくり。
これらは、日本側の注文でそっくりに作ったものだそうで…。
本当かどうか僕ら素人には確認できないが、すごい説得力のある展示。
なお私が行った時間は、館長谷晃さんの素敵ボイスによる列品解説があって、ちょっとうっとり。
非常におもしろかったです(小並感)。
ただ、理詰め過ぎる展示に、「理科準備室に迷い込んだ」みたいな息苦しさもあったり。
野村さんの「素敵道具を見に行った!」という感じは全然しなかったなー、正直。
追記;
そういえば茶席飾に「千宗拙 竹一重切 銘丹頂」というのがあったが、そんなものが伝世しているということがすごく不思議だった。