喫茶南坊録註解5 飾ノ陰陽
利休云ハク茶ハ礼ナリ敬ナリト。
然ラバ主客應對ノ間、必ズ節度ナカル可カラズ。
乃チ其ノ會の吉凶慶弔ニ應ジ、器ノ配置増減ニ斟酌アリ。
能ク其ノ主客ノ感情ニ適ヒ、其ノ會ノ性質ニ副フコト、是レ斯道ニ於テ重要ノ事トナス。
即チ之レヲ飾ノ陰陽ト云フ。
総テ其ノ會ノ慶事ニ関スル者ハ専ラ陽ノ飾ヲ用ヒ、哀悼ノ會ニハ陰ノ飾ヲ用フ。
又、平常ノ會ニハ常ニ陽ヲ用フ。但シ一會中ニ於テハ、初座ハ陰ニシテ後座ハ陽ナリ。
道具の置き合わせ、というか数の偶数奇数により陰陽が決まり、それはTPOにしたがって最適なものを選ぶべきだ、というのが南坊録の主張。
それに伴う著者のぼやき。
現今ノ茶界斯ル要理ヲ知ル者アリヤ否ヤ。
此ノ規定ナケレバ、実ニ慶賀ノ會ニ不吉ノ態ヲ表ハシ、敬スベキヲ侮リ、謙スベキヲ傲ル等ノ陋態ヲ演ジ、具眼ノ士ニ顰蹙セラレ、智者ノ哂ヲ買ヒ、尊者ニ礼ヲ失シ、終ニ人ヲシテ不快ヲ感ゼシメ、全ク礼ニ反キ敬ヲ失フニ至ルベシ。
TPOを弁えないと恥ずかしいよ、というのは判る。
日本人なら、着物を左前に着たり、ご飯に箸を刺したりしない。
こいつは仏事に起因する事を、多くの人が知っているからですな。
奇数がめでたく、偶数が不吉なのも、陰陽道や仏事で体験しますし、馴染みがあると思います。
しかし、道具の置き合わせの奇数偶数が場の吉凶を決める、というルールは、茶道にしかないルールです。というか、南坊録以前にあったかどうか怪しい。
楽しい団欒のコタツに、蜜柑一つ置きはいいけど、そこに湯呑みを1個追加すると、陰の飾りになっちゃうから、さらにもう一つ湯のみ置こうね、みたいなこと普段考えない。
茶道にしかないルール=世間的に根拠無いルールなら、廃止してもいいんじゃないかな?
廃止は嫌?
じゃあ逆にさらに難しくしてもいいんじゃないか?
どうせ根拠無いんだし。
置き合わせた道具の数が5より小さい素数で割り切れると午前の茶会とか、置き合わせた道具の数が60で割り切れると還暦の茶会とか。
あ、あと3の倍数だとアホになるとかもいいかもね。