喫茶南坊録註解6 矩割ノ解
矩割トハ臺子、床、違棚等ニ器ヲ置クニ、其位置ヲ定ムル標準ニシテ、真態茶礼ノ原則ナリ。
然シテ行・草ノ茶礼モ亦必ズ此ノ定規ヲ逸スルコトナクシテ活動スルヲ法トスル者ナレバ、此ノ規則ハ真草一貫ノ法則ナリ。
ということでやおらカネワリ。
矩(カネ)トハ前項ニモ説キシ如ク、臺子、床等ニ等分ノ縦線ヲ假畫シ、此ノ線ヲ矩ト呼ブナリ。
総テ器具ハ此ノ線ニ循ヒテ置キ着クルヲ法トスル者ニシテ、茶室ノ飾ハ総テ此ノ線上ニ置カザル可カラズ。
(略)
カネとは、台子とか板とか畳とか床とかを、仮想の線を引いて比例配分にしたものである。
全ての道具はこの線に関連させて置き合わせる。
矩ハ五ツカネと称シ、臺子或ヒハ床ナドヲ六等分シ、其ノ界線五ツヲ用フ。
此ノ五線ハ陽矩ニシテ、陽飾ハ必ズ矩ノ上ニ飾ルコトナリ。
而シテコノ五線ノ各中間ニ更ニ一線ヅヽヲ施ス。
其ノ数六アリ、之ヲ陰矩トス。
五陽六陰。横巾を五分割したものが陽のカネ。
陽のカネと陽のカネあるいは陽のカネと端。その間を区切る6本が陰のカネである。
此ノ十一ノ矩ニモ尊卑アリ。
飾ル器ノ品級ニ應ジテ其ノ位置ヲ異ニス。
即ち中央の矩ヲ最高位トシ、最上ノ名器ヲ飾ル位置ナリ。
此ノ一線ハ陽矩ナレドモ、至高ノ名器ハ陰飾ノ時ニテモ此ノ矩ニ置ク特例ナリ。
そのカネのうち、ど真中のカネに、どーんと置くのは、名物のみ。
此ノ外別ニ七ツ矩ト称スル法アリ。此レハ臺子ヲ八等分シテ、其ノ界線七ツヲ用フル者ナリ。
此ノ矩ハ簡約的ノ矩ニシテ、陰陽ノ別ナク、單ニ七線ヲ用フルノミナル侘式ノ矩ナリ。
台子には七つのカネもあるが、簡略的なもの。
これだけだと、ただ仮想上の線を引いただけの話なんだよなぁ。
長くなりそうなんで活用は明日。