喫茶南坊録註解7 矩ノ活用1

さて、大変めんどくさい印象のカネワリ。

前項ニハ矩ノ汎則ヲ説ケリ。
是ヨリ更ニ進ミテ其ノ細則ヲ説カン。
之レヲ矩ノ活用ト名ヅク。
此ノ活用ハ甚ダ繁多ナレドモ、之レヲ熟得シテ自由ニ操縦スルコトハ茶道ノ生命ニシテ、之レガ練達ヲ得バ、其ノ回轉滑脱、玄妙自在、實ニ趣味津々タル者アリ。

そもそも著者の能書きが、うさんくさい。
インチキ商品みたいである。

一 峰摺

一名摺矩又一ツ物ノ矩ト云フ。
此ノ規則ハ器ノ中心ヲ矩ニ緊着セシムベク置ク方ニシテ、名器ニノミ行フ式ナリ。
斯ク器ノ中心ヲ矩ニ正シク當ツルコトハ、其ノ器ニ最上ノ尊榮ヲ表スル事ナルガ故ニ、平凡尋常の器ニハ此ノ置キ方ヲ許サヾルモノナリ。
(平凡ノ者ノ置キ方ハ次項三分掛ノ處ニ詳細カナリ)
然ルニ名器ハ中心ヲ矩ニ當テヽ峯摺ニナセドモ、其ノ中心ガ緊密ニ當ルコトハ之レヲ真鉾ト称シ、活動ナキ矩ナリトシテ忌ムコトナリ。

カネワリで引いた線と道具の中心線を一致させるのは名物の扱い。
ただ、かっちり真中に合わせるのは「真鉾」といってやってはいけない。
ほんのちょっとだけずらすのを「峯摺」といい、名物はそうやって置くべし。

一 三分掛

或ヒハ三分一ノ矩トモ云フ。
此ノ規則ハ器ノ中心ヲ矩ニ三分ノ一避ケテ掛ケ置ク式ニシテ、名器ナラザル尋常ノ器ノ置キ方ナリ。

普通の道具は、道具幅の三分の一の所が、カネワリの線と合致するようにする。


めんどくさい印象のカネワリだが、実はこの二つしか、基本原則はない。

めんどくさい印象があるのは、その応用と効果が見合わないトコにあると思う。

では明日はその応用編を。