喫茶南坊録註解8 矩ノ活用2

さて、カネワリに変化を与える方法を紹介する。

一 續キ矩

数個ノ器ヲ置キ合セシ関繋ニヨリテ、陰飾ヲ陽飾ニ変化スル法則ナリ。
即チ此ニ一個ノ器ガ陰矩ニ在ル時ハ、無論陰飾ナリ。
然レドモ其ノ左右ノ陽矩ニ各他ノ器ヲ置ケバ、中間ノ陰ハ変ジテ陽トナル者ナリ。
其ノ理ハ左右ノ陽ガ発動スレバ、其ノ中間ノ陰ハ陽ニ包擁接續セラレテ変化スルナリ。

二つの陽のカネのもので陰のカネのものを挟むと、陽転する、というオセロみたいな技。

一 括リ矩

陰矩ニ在ル器ヲ、他ノ両陽ニ掛ル器ヲ以テ、之レニ添ヘテ陽変スル法ナリ。
即チ左右ノ陽ニテ括ルトノ意ニテ名ヅケタルナリ。

陰のカネの道具を、陽のカネに掛かるものの上に載せる事で、陽転させる。
…最初から陽のカネにおいちゃ、だめなん?

一 多シ矩
又カネ外ヅシト云フ。
是レハ陰陽何レノ矩ニモ觸レザル置方ナリ。
即チ陰ト陽トノ中間、矩ナキ空處ニ置クモノナリ。
斯ク矩ニハヅレタル者ハ有レドモ無キガ如クニシテ、飾ノ数ニ算入セザルヲ法トス。
此ノ規則モ臺子ノ飾リ数ヲ斟酌スル為ニ甚ダ必要、且ツ便利ナリ。

カネワリに関係ない場所においたら、カウントしないという反則っぽい技。

「便利ですよ」じゃねーよ。ズルだろ。

一 結ビ矩
或ヒハ副ヘ置キト云フ。
是レ亦飾リノ数ヲ斟酌増減スルニ必要ノ法ナリ。
即チ二個ノ器ヲ置キ方ニヨリテ一個と算スル法ナリ。
但シ此ノ方法ハ何レノ器ニモ應用シ得ル者ニ非ズ。
唯互ニ関聯セル器ニシテ、一方ヲ撤セバ、他ノ一方ハ用ヲ為サヾル関係ノ物ノ間ノミニ行ハルヽ者ナリ。

別のものと関連させておけば、一個カウント、という荒技。

一 特殊續矩
此ノ名称ハ本録ニ在ラズ。之レ余ガ名ヅケシ所ナリ。
(略)
此ノ法ハ續キ矩ノ性質ナレドモ、左右二陽ニ因ル續キ矩ニ非ズ。
唯一線ノ陽矩ニ器アリテ、其ノ器ノ一端ガ延ビテ隣ノ陰矩ニ觸ルレバ、其ノ陰ハ此ノ陽器ニ遮ラレテ、陽タル作用トナル者ナリ。

で、著者が解読した?續キ矩の一種。
長いものを横に配置すると、それの通過する陰のカネは、陽転する、というよく判らない教え。

さて、昨日紹介したカネワリの基本は「名物はちょっとだけずらす/常の物は三分の一ずらす」という配置ルールであった。

今日紹介したのは配置したもののカウントに関するルール。

さまざまな例外を設け、道具の奇数偶数(南坊録の表現でいうところの丁半)を、コントロールする方法である。

南坊録にあるカネワリの法は、「畳を11等分した仮想の線上に道具を配置しろ」「でも線上ぴったりに置くな一般的には1/3掛かる様に置け」「道具のカウント方法は多少工夫できるよ」というものである。

思った程難しくも面倒でもない。

なのに、難しく考えられているし面倒に考えられているし、実際廃れてる、というか採用されてない。

なぜか?は明日考察する。