掘り出し物

某日。某「ある意味有名な」茶道具店に入った。

店の名前は書かないが、思い当たる店が浮かぶ人もいるかもしれない。


店に入ったとたん、店の人がすりすり寄って来て「掘り出し物揃えておりますんで、どうぞ見て下さい」と来た。

茶道具を適正な値段で買い、適正な利益を付け売りさばくのが茶道具屋の仕事なので、自分から「掘り出し物」アピールはうさんくさい。

店の中を見る。


桃山時代の古瀬戸茶入10万台。

なわきゃーーーーーーーない。

そんな値段で買える桃山時代の古瀬戸茶入は存在しない。

箱無しで買い叩いたものか、偽物として鑑定されたものを安値で手に入れたか。そんなものだろう。

そんなものありがたくないし、客に出せるわけもない。
もの自体がそう悪くないだけに、肩書で損しすぎている。


そう思うと、店の中すべてがうさんくさく見えて来る。

絶対この店で道具買うのよそう…と思った。茶道具は、安ければいい!というものでもないな。