茶道規範10 聞書 膳出す事

第十四 膳出す事
一 膳出す時座席狭くは見合て烟草盆取り入るべし。座鋪廣く邪魔にならずば取入るに及ばず

茶道便蒙抄には「煙草盆」が出てこないように思う。
正客ポインタとしての煙草盆が成立したのはもっと後の時期ということだろうか?

一 尊貴より家臣等へ御茶下さるとても膳酒の初献は御自身たるべし
勝手口か給仕口の中に着座ありて給仕人持來るを取次て据らるべし尤折々挨拶あるべきなり

大正時代にもなってからの「聞書」の方に、「尊貴」だの「家臣」だのという項目が入る不思議さ。

一 茶菓子出さざる時は膳の向脇に楊枝を立に置き其際に口取の煮染を一種置なり
又煮染も置かず楊枝ばかり置事もあり
両品とも一汁一菜侘人又は不時のとき菓子なく或は田舎の物事不自由の所にてする事なり
一 水栗當流に出さず
口取の煮染物は必ず出すべし
煮染に限らず燒昆布又は鹽氣類の甘きあとにて食せざれば口中あしヽ

水栗は出さない、という明記は武家茶道の影響を排そうという感じだと思うが

  • 茶菓子は出さない事がある
  • でも煮しめは出す
  • 甘い後口嫌だから煮しめは出すこと

のはなかなかショック。

甘い後口を濃茶で流す…的な感覚はなかったんだろうか?