茶道規範12 聞書 茶點やうの事

茶の点て方。

茶道便蒙抄にはない心得が面白い。

第十八 茶點やうの事
(略)
例令ば茶碗にても茶入にても向ふ下りに持行て器の底を向ふの方より疊につけ唐臼をふむ如くするは惡し底のこらず一度に眞直に置くべし
宗伯の兄弟子中村五郎作茶入を置に疊なくんば奈落迄も行くべき樣に氣滿て惣体の手前見事なりしとて時習軒は語られしとなり是にて考ふべし

茶入等を畳に置くときは畳と並行のまま置け。
中村五郎作は茶入を置くとき、畳が無ければ奈落まで落ちるかも!と思うような気迫で置き、見事だったという。

…いや、それはどうなん?
息詰まり過ぎだろ?

一 釜のふた服紗にて取る事惡し。横にあげ露をたらすべからず取りかけてあるなりに手前へ引くべし
若し熱くば茶巾にて取るべし。
釜の蓋すかしあるもの常に取り付くればあつくなきもの也
服紗にて取事あまり異やうに見えていかヾ。是は末流の事なり

釜の蓋を服紗で取るのは異様だ、そんなの他流のやる事だ、せめて茶巾にしときなさい、という主張が大正時代にあったのか…。
表千家系にはタフネスが必要なんね。

一 指の力は柄杓の重みに應じたるがよし。
諸道具の持やう是に了簡有べし此心得當流點茶の眼とするなり。
たとへば柄杓を持力にて茶杓をもてば茶杓にちから勝過るなり。
茶入を持つ力の心持にては水さしは持ちがたし(略)

面白いなぁ。道具に合わせて力加減を変えるのが点茶の眼目になるなんて。

この時代のお点前はかなりリキの入ったガッチガチのものだったのかもしれない?