茶道規範34 聞書 盆点の事

茶道便蒙抄の風炉/堂庫の項目は簡単である。

第十三 堂庫の事
一 茶立やう常に變る事なし。道具置合は圖の如くなり。是も壮年以後の物也

こんだけ。

聞書は、上記に追加して、こうある。

といへども殊に五十歳以上の老人のする事なり。
年若にても不行歩の人は客へ其斷りをいふて遣ふべし。
作前に前述の如く段々記す通りなり。

五十以上か、足の悪い人しか道庫は使わない、と言っている。
つまり「壮年」は使わないと言っている。
壮年にすると、ほぼほぼ茶事やれる茶道人口の全てがカバーされてしまうからだろう。

極老人は薄茶の時に水壺堂庫に置ながら點茶して苦しからず。
其時は茶杓取あげ茶桶の蓋を取り其前に置。
茶桶の身許り取り手茶を汲み入るなり

薄茶の時に水指を道庫から出すのも大変なので、道庫に入ったまま使え、と言っている。
その際は、薄茶器の蓋を薄茶器の位置に置き残してお茶を汲め、と言っている。

水指が無い為、薄茶器を水指前に置き合わせられない。寂しいし、薄茶器の元の位置が判らなくなるのを防ぐ為ではないかと思う。

濃茶の時はどうしたんだろうか?

尤も是は圍爐裏の時は爐の切やうにより作前の分別あるべし。
先は向切にてなき時は仕がたし。
四疊半三疊半外爐にては堂庫の付所により此の如くは成りがたかるべし。
尤も至極略儀たる事也

ただ、これは向切でない時は難しい。四畳半切などではこうはできないだろう、と言っている。

向切りは風炉の位置に炉がある。勝手の壁から道具を出し易い。

でも四畳半みたいな、勝手の壁と180度逆に炉がある場合は、炉に正対すると道庫が背中になってしまうので難しい、と言っているのか。


つまり、道庫は老人の侘びの点前であって、非常に限定的なものだと言っている。

便蒙抄からでは読み取れない部分を、よく補間していると思う。