茶道規範35 聞書 菓子の茶の湯の事

茶道便蒙抄第四。茶事の話である。

便蒙抄にこうある。

第一 菓子の茶の湯の事
一 朝飯後夕飯後の物なり。朝飯後の約束ならば辰の刻に案内を乞うべし。夕飯後ならば未の中刻に案内乞うべし

聞書は続ける。

是は近所心安き衆中言合せ約束する事なり。故に前後の禮にも及ばず或は同門弟稽古等にする事なり。

菓子茶事は近所の気安いお茶だと言う。

確かにわざわざお招きして食事を出さない…ってのもアレだし。かといって、どこかで食事してもらってから来てもらう、というのもどうかと思うしな…。
「飯喰ってから来てくれよ」を合理化できるのは近所付き合いしかないわ。


便蒙抄;

一 爐の内客來る時分を考へ。澤山に炭を置くべし。風爐も同前なり。

聞書は続ける。

是は菓子の茶に限らず下火澤山入べし。當代は炭仕よき為か下火少し計り入るありさまにて惡し。當流には嫌ふなり。

そして聞書にしかない項目。

吸物酒出さば爐の時は其以前に炭を直すべし。風爐の時は酒濟て炭を直すべし。
菓子ばかりならば炭の後に菓子を出すべし。
初に出たる如く菓子計りの時は炭を直さずとも點るなり。
(略)

菓子茶事は、本来中立がない茶事である。

したがって、炭を直さずお茶をする為に、炭は沢山置いておく。

が、時代を追って行くうちに、だんだん中立有り/炭直し有りに変遷してきた様だ。


聞書は、炭ではなく「下火を沢山」にねじまがっている。
そして炭のタイミングに関しての記述も。

その辺のことが、聞書の描写からわかる。