茶道規範58 要録 取り合わせ

道具與道具取合之事

夫レ器ト器ノ取合物好ノ肝要數奇者タルノ眼也
方ニ圓ト大ニ小ト高ニ低ト廣ニ狭各體用相應アリ
是レ道ノ元ニシテ易ニ所謂一陰一陽道ノ始ナリ
不得止ノ理也

道具の取合せは、茶人の一番大切な部分。
四角と丸を、大と小を、高と低を、広と狭を取り合わすのがふさわしい。
これが道の元であり、陰陽道の一陰一陽に通じる。
理屈だけに留めないように。

利休能ク識テ用行モノガ當道ヲ勤テ名アル人ノ説トテ云ク
釜ノ大ニ水壺ノ小ヲ用ル事湯多キガ故ニ水ノ所用ナシ
小釜ニ大水壺ヲ用ル事水多ク可用為ト也
尤モ一理達メ聞ニ悦ブ
我ガ所傳不然各大小ヲ應ズルコト陰陽體用ノ至極如前ト或説モ亦
善理ニ似タリト云共本理ニ非ルヲ以テ不合ス
其四方ト圓形ノ辨ハ如何ン又茶盛ノ小ニ茶碗ノ大ヲ如何ントカセン
諸道具其本ヲ學バンニハ不如
故ニ聖語ニ本立而道生ト云リ

利休はよく理解して実践していたが、この道のある名人が言った事としてこういった。
大釜に小水指では水が足りずに使えない。
小釜に大水指では水が多いから役に立つ、と。
もっともな事だ。
私は道具の取合せが陰陽の至極と言ったのは、ベターであってベストでない。
四角と丸の話は、小さい茶入にデカい茶碗ではどうにもならない。
いろんな道具の基本を学んでいないとこんなことになる。
論語に「基本が大事とても大事」とあるのはこういうことだ。


茶道具の取り合わせに際し、大小等の形状の話が載っているわけだが、取り合わせようによっては茶が点てにくくなる、という話である。

まぁそうかもね。
デカい茶碗に小さい建水だと、建水あふれかねないわけだし。


ところで、取合せの項目に、季節の道具というのが一切ない。
茶の湯の季節感は花にしかなかったのだろう。

茶の湯が道具をもって季節感を重視しはじめたのは、いつごろなんだろうか?