茶道規範61 要録 茶の湯の起こり

凡茶之湯ノ起リト云ハ古人世事ノ忙々タルヲ避テ聖道ノ學ニ志シ人倫遠ク物静ナル山林ニ入テ容膝ノ居ヲ設ケ自己ノ心法ヲ觀ズ

茶は遊びではなく、日々の忙しさからの逃避として、市中の山居で自分さがしするとこにあるんよ。

…うん、嘘ではない。

其ヨリ先家業事繁ク下學上達ノ功難成故ニ我ガ歸依ノ僧ニ因テ一句ノ要文ヲ令書請得以テ墨蹟ト號シ目前ノ壁頭ニ掛具ヲ旦暮ニ是ヲ工夫ス
既ニ心倦テ乃生眠于時自ラ茶ヲ點呑其功ヲ以テ助氣止渇打睡閑中ノ楽ミ有于茲是以テ墨迹ヲ要トス

だから帰依する坊主の一行書をぶらさげて、修行し、眠いのは自分で点てたお茶でどうにかするんや。

…うん、嘘。

室町期に「尊敬する禅の大家の記念となるような横物の喝を下げて」いたのがすっかり忘れられ、大徳寺一行書ビジネスが昔からあったかのような話になっている。

珠光ガ一紙目録追加ニ云ク紹鴎ノ常談ニモ茶ノ湯ノ躰ハ専ら禪法ヨリ出テ大形口訣ノ密傳ナリ
依書物ナレド又タ古今唐物集ニ云ク

知量茶味與禪味 吸盡松風不意塵

右末ノ二句バカリヲ記ス

目録トハ能阿彌ヘ南都星明寺ノ珠光傳授ノ問日記ナリ
珠光ハ東山慈照院ノ御師匠ナリ
(略)

珠光の立場は「義政に呼ばれた茶芸人」から「義政の師匠で奈良から才人能阿弥に一紙目録伝授した人」に大幅格上げ。

えらいレベルアップである!